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平成18年度 インダバ (指導者のつどい)
参加者と主催者の評価

インダバに参加して

ウ班 左川 弘治 (尼崎地区第2団)

JR明石駅に着き、明石城の掘割の水鳥を眺めたり鯉と亀の多さに驚いたりしながら左に曲がると、思いがけなく睡蓮の花が眼に映りました。 その可憐さに立ち止まり、暫し愛でていると、妙齢の婦人が訝しげに私を見つめながら通り過ぎましたので少し恥ずかしくなり、でも何事もなかったように装いながら再び歩き始めました。

日が高く、暑くなりかけてきた坂道を、道端に咲いた名も知らない小花を見つけながら、汗をかかないようにゆっくり、ゆっくり歩いて行きました。 それでも会場の「あさぎり寮」に着く頃には、うっすらと汗が滲んでき、木陰で涼んでいるといきなり蚊に刺され、ロマンチックな気分は一瞬に消え去り、「この野郎」と蚊を追っかけまわし、野卑な現実の生活に引き戻されました。

会場に入るとまだ誰も来ておらず、所在なさに雑誌を読んでいると、漸く到着した中島コミッショナーが声を掛けてくれました。 「よう左川さん、早いね。何かすることある?」 「いや、別にないよ」 「暇そうやから受付けやってくれる」 「いいよ」と、コミッショナークルーの下働きを命じられました。 堅田副コミッショナーに叱られながら、適当に受付け業務を終え、開会式に臨むと県連盟代表の挨拶を押し付けられました。 私は「下働き」から「県連盟代表」に名誉の昇格を成し遂げたのです。 しかし、挨拶が終わるとすぐさまその場で一般参加者に降格されました。

久しぶりに参加したインダバは Boy-man となりスカウティングを楽しむという趣旨でした。 いつもはトレーニングを施す役割をすることが多いのですが、今回は久しぶりに参加者となり、気楽な立場でプログラムを楽しめそうです。 幸い愉快な仲間に恵まれました。 私達のグループは班名を鳥の「う」とつけ、班呼は甲子園の観衆が「あと一人」コールの後でピッチャーの投球に合わせて唸る「ぅ──────うっ!」としました。 こんなことを平気で考え出す Boy-man の集まった楽しい仲間です。

気楽な立場でプログラムを醒めた眼で観察しようと思っていたのですが、なかなかどうして、次々と進行し、指示が連続するのでついつい夢中になって頑張ってしまいました。 私は班での役割が「安全係」で、何故か安全係は食堂での配膳と後片付けも任務の一部でした。 夕食前にキャンプファイヤーの出し物を考え、リハーサルするよう指示があったのですが、私は任務のため食堂に出かけ、この話し合いに参加することができませんでした。 食事中、「左川さん。キャンプファイヤーのスタンツは鵜飼をすることになったよ。あなた、七尾さんと二人で鵜匠役をやってね。」と阪口班長から命じられました。 「え〜どう進めるの?」と聴き返しましたが、みんな笑っているだけなので度胸を据えることにしました。 筋書きを簡単に聴き、本番では七尾さんと打ち合わせなしでアドリブの掛け合いをふんだんに盛り込み、これが何故か絶妙の呼吸で仲間の絶賛を浴びたうえ、七尾さんが個人演技賞を獲得し年長者の面目を施しました。

翌日はしつこい「3番ゲーム」にへきえきしたあと「班行進」に望み、正調パトローリングに徹した我が「う班」は初めて栄えある優秀賞を獲得することができました。 この成果の影にはパトローリングの隊形や意義等の激しい議論の応酬と班長のとぼけた指導と、七尾隊員の膝痛による涙のリタイアと、班員のけなげな工夫があったのは言うまでもありません。

クライマックスのハイキングでは、暗号文の解読に多少時間がかかったという反省点を残したことを除けば、快適な楽しい時間でした。 快適で楽しい時間の筈でした。 決して苦しむ時間の筈ではない筈でした。 手旗でしくじりました。 ボーイ隊長を退いて5年。 たった5年しか経っていないのに発信される手旗の2割程度を忘れているのです。 隊長当時、原隊には手旗の達者の副長がいたので私自身あまり熱心に取り組んでいなかったつけがこんなところで出てしまったようです。 『モールス信号だったら自信があるのにな〜。』は私の影の声です。 でもそのほかの計測や結索はうまくいきました。 観察で小麦粉を見落としたのは致命的なミスでしたがこれはご愛嬌。 粉物を使うとは。 敵は手強いようです。

ハイキングは多少の減点はあるにしても、ポイントでは優れた成績を残したと班員全員が自己評価を下しているので優秀賞獲得は間違いないだろうと思っていたのですが、あにはからんや伏兵が出現し、即ちイヌワシ班にさらわれました。 残念!

もうないだろうと思っていたしつこい「3番ゲーム」をまた繰り返し、最後の勝負で会心の勝利に盛り上がった余韻を残しながら、さらには総合優秀賞を取れなかったことはやはり見果てぬ夢だと諦めて閉会式に望みました。 しかし、私は再び県連盟代表の地位に返り咲くことはなく、一般参加者の立場でインダバを終えました。

インダバは隊長のための集会です。 団委員長のためのものではありません。 こんな当然のことを再認識した場でした。 私は団委員長の立場で参加しましたが、だからといって後悔しているわけではありません。 団を運営する者として、当然知っている自団に欠けているものを更に確認することができた機会でした。

本来スカウティングは楽しいものです。 苦しんでスカウティングをするものではない筈です。 インダバでの2日間、本当に楽しく過ごすことができました。 愉快なスカウティングを体験することができました。 ここに今回のインダバのねらいを見た気がします。

今回の参加資格は Boy-man の心を持つことでした。 私は2日間のプログラムに夢中になり、Boy-man になることを志しながらもいつしか忘れ Boy になってしまったことをちょっぴり反省し、素晴らしい仲間と、素晴らしい環境と、素晴らしいプログラムと、素晴らしいスタッフに恵まれたことを心から感謝したいと思います。 参加されました全ての皆様にとり、このインダバが楽しく実り多い機会になりますように。

インダバに参加して

イヌワシ班 Y

インダバに参加したのは、今回初めてのことでした。 予備知識はボーイ隊と同じ体制での活動をするらしいと聞いてはいましたが、さて、さてどの様な事が起きるのか 大変興味がありました。

班編成のときはどんな方々がメンバーになるのか。それもドキドキ、わくわくです。 早速のアイスブレークの「3番ゲーム」これは私にとって一番苦手な分野。 このゲームがその後の班の成績に関わってくるとは、名も無い班のメンバーは知るよしもなく一戦目は敗戦でした。

講堂では、班名、班呼、班のモットーを決めながら 講堂の中にあるもの または準備されたものでの『デン』を作ります。 出来上がった『デン』は各班個性豊か まるで学園祭のようです。

「イヌワシ」班の名前も決まり、班呼も「キーキー」。

プログラムも進み当日の優秀班の発表と表彰。 「イヌワシ」班は名前も呼ばれません。 すると無性に班旗の飾りが欲しいと単純に思ったのです。

3番ゲームもいい線までいくのですが敗戦が続きます。 夕方から新入班員も揃い11名。 当日組あわせると13名。

営火のスタンツ、始めはなかなか決まらず新入隊員のアイデアで出し物は決まり。 そこは指導者たる者の強み役割分担はスムーズです。 スタンツも各班個性のある出し物で 「鵜」班の鵜飼などボーイの真髄、おきてを入れながらのスタンツで盛り上がります。 ファイヤーも薪を組みその中にガスランタンで光を調整しながら、営火の雰囲気を出すアイデア!は頭の引き出しにいれ、我々イヌワシ班のスタンツも無事に終わりました。

その後の春の大宴会での川柳のお披露目も終わり、静かに夜は??ふけ。

次の朝、朝礼の時スタンスでの優秀班でたて続けにイヌワシ班の名前が呼ばれ、念願のかざりものが確実に増え一気に士気が高まります。

二日目のメインプログラムは「道しるべ」ハイキング。 その前にパトローリングの行進。 ホームズからの手紙を解読しながら、観察、推理、解読 各班の チーム ワークを競います。 そこでの報告はまず楽しかった。 指導者がプログラムを作るにあたり苦慮することは一日のプログラムの構成ではないでしょうか。 いえば各隊に持ち帰ってもBVSやCBアレンジすれば充分に楽しめると思いました。 ところでその後の「イヌワシ」班の点数はハイキングの結果は接戦なれど、ポイントを稼ぎ隊旗の飾りも確実に増えてきました。

最後の最優秀班を決めるにあたって、インダバへのパスポートの提示などでポイントを取り、最後の3番ゲームではエースが途中で抜けたにも関わらずやっとの一勝、その一勝が逆転することになろうとは、最優秀班の発表があるまで分かりませんでした。 結果は最優秀班『イヌワシ班』最後のいやさかが心に残りました。

記念に飾りも頂きました。

あなたは「Be the Boy man」になれましたか?と問われると「YES」と答えます。 さてみなさんは如何でしたか?

インダバ雑感

県連盟コミッショナー 中島 佳一

「よりよいスカウティングを、より多くの青少年に!」のスローガンを掲げ、18年度はスタートをしました。 そのスローガンを達成するための重点目標として「スカウト運動の基本を大切に」が示され、コミッショナー教育活動方針では、より具体的な表現として

  • 基本原則の再確認と質の向上で「本物のスカウティング」を推進しよう
  • 各々の使命から、具体的な行動の実践が「わくわくドキドキ」を生む
  • 上記の「わくわくドキドキの本物のスカウティングを展開」するには、自分の環境・組織を再点検し、見直すことが活性化への第1歩である

の三点を掲示しました。その第1弾として、18年度インダバが開催されました。 そのコンセプトは、前年に引き続き、研修?トレーニング?でなく、「体験」「行うことによって学ぶ」を中心とした指導者の隊集会を目指し、夢多き、Boy-man(県副コミッショナー)が昨年の評価反省を踏まえ企画、計画、準備を行い、そのスピリッツをご理解された80数名の参加者と協働で実施・展開が行われました。 その評価は、様々かもしれませんが、私は信じています。 私たちは、いつも本物のスカウティングを求めるならば、いや、間違いました。 本物のスカウティングをスカウトに提供するには、我々も本物を経験・体験・実践しなければならない。 それには「………」が必要ですね! 「………」を地区コミッショナー、団担当コミッショナーと共にラウンドテーブルや各種研修で見つけてください。

みんなで作った「インダバ」ご協力ありがとうございました。感謝!

優秀班を目指して!

隊長役 県連盟副コミッショナー 清水 秀彦

今年のインダバは、駆け足ではありましたが隊活動の一年(秋、冬、春、夏)を想定し、スカウトたちが班活動を通して見せる様々な努力と進歩を表彰する。 そして更なる意欲の高揚を促すといったことを模してプログラム化しました。 以下に隊長役の視点を中心にプログラムを振り返ります。

: 年間プログラムの開始は秋です。 新入隊員を迎え希望と不安、またあらゆる面でのぎこちなさが残る中、班活動の基本的な事項である班名、班呼、役割分担などを決定いただきました。 そして秋のプログラムの圧巻は "デンつくり" でした。

: この時期は寒いので室内活動を中心し、班・隊活動で最低、身に付けねばならない "規律" 訓練を実施しました。 大きな意味で本格的な春、夏の活動に向けた準備期間の位置付けです。

: 新緑あふれる季節。種々の活動も起動にのり、皆で盛り上げる "営火"、それに "春の園遊会" の開催で夏に向けての準備もクライマックスです。 とりわけ園遊会では、すばらしいインダバ川柳のご披露があり会場を沸かせたのです。 また班長会議(訓練)→班集会→隊集会(表彰) といった一連の流れも身に付き、次の優秀班めざそうという意欲が顕著となった時期です。 一方当番班の役割が各人の肌に刷り込まれ隊活動も円滑さを増したのでした。

: 一年の締めくくりで、この一年の活動を総括し、新たなプログラム年度へバトンタッチする季節です。 秋から培ってきた班精神を、冬の訓練の成果を "班行進" で、知識、技能は "オリンピア" で発揮し自信を付けてもらったものと思います。 ご覧にいれたい立派な "班行進" でした。

年間プログラムを通して活動の底流に隊のカラーというか、隊の得意な活動として "3番ゲーム" を置きました。 この言葉で元気の出る人、出ない人と別れますが、隊活動でスカウトに嫌われそうな活動を実施すると欠席者が増えるよ!という自省をこめながら実施しました。

また都度の表彰では、優秀班選考のものさしを予め明確にし、最終決定者も選任しておりました。 併せて皆様にも選考の難しさを "班行進" の選択方法で多少は感じていただけたかと思います。 うちが優秀班だと思われた方も多かったかも知れません。

最後に今年のインダバも楽しく有意義に過ごせたと思ってます。 指導者自らが "ワクワクドキドキ" を経験して初めてこの運動の魅力、方法などが理解できます。 年に一度しかありませんが、多くの指導者仲間とともに "本物のスカウティングとは?" というテーマを理解する糸口となれば幸いです。 この運動は "ちかいとおきてと班制度" と喝破した先輩がいます。 まったくの同感ですが、そのことを佳作に満たない川柳で表現させてもらいます。

班長を 訓練してこそ 班制度

楽しさは 自発活動 促して

隊長が 変な力説 欠席者

以上

弥栄