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平成22年度 インダバ (指導者のつどい)
1日目(前半) − 6月12日(土) 曇ときどき晴
開会式

今年は、昨年より少なめの50名強の参加でしたが、それでも開会式のファイヤー場はいっぱいになりました。 しかも、県連理事が 2名参加。 京都連盟の方は、3年続きで、今年も参加してくれました。

開会式-1 開会式-2

班活動するのがインダバですので、もちろん隊スタッフもいます。 隊長は、わりと元気な清水副コミです。

隊長
オリエンテーション

今年のテーマは Backwoodsman です。

Backwoodsman を辞書で引くと、奥地(いなか)の住人とありますが、単に辺鄙なところに住んでいるだけではなく、自然と友に生活をしている人々のことをいいます。 B-Pが、インドやアフリカで出会った現地の人々などはその最たるものでしょう。 日の出とともに起き、日没とともに床に入る。 雨が降っても風が吹いても、外の空気の中で生活する。 太陽の光も暑さも寒さも感じないような都会では、失われた暮らしをしている人々です。 そこに、スカウティングのロマンがあります。

オリエンテーション-1

実は、会場である六甲山・摩耶山にも、かつて、Backwoodsman たちが住んでいました。 六甲山は、明治時代に神戸居留地に住んだ外国人たちにより開拓された山です。 とりわけ、六甲山上に日本で最初のゴルフ場を作ったグルーム氏や、六甲山を始め日本の山々を海外に紹介したドーント氏など、六甲山の山野に分け入って道をつけていった方々がいました。 六甲山には、サウスロードやアゴニー坂、シュラインロードなど英語の地名も多く残っています。 Backwoodsman たちが開発したこの山で、今回活動するのは意義深いのではないでしょうか。

隊・団の現状調査 の兵庫連盟での集計では、野外活動が少ないことが分かりました。 右のグラフのように、5泊以上の野営をしている隊は非常に少ない。

今年度の兵庫連盟の活動基本方針には 自然とともに とあるのですが、実際にはそのような活動をしていないのです。 できていないからこそ、ボーイスカウトなら当たり前のことなのに、あえて 自然とともに といわなくてはならないのでしょう。

Backwoodsman のロマンを追求するには、野営をするのが一番です。 しかし、1泊2日のインダバで野営を満喫するのは無理なので、今回は、計測地図とコンパス を活動テーマに選びました。 これらは、野に出るための(斥候術の)基本的スキルです。 Backwoodsman になるために、ぜひマスターしておく必要があります。

オリエンテーション-2

インダバノートの表紙にも載せましたが、右のスカウティング・フォア・ボーイズの挿絵には、以下の説明がついています。

The trained backwoodsman knows the way of the woods. He can make himself comfortable in a thousand small ways.
経験豊かな山男は森の中の生活の仕方を知っている。あれこれと細かなことをして生活を快適にする。

そう Backwoodsman は 森の中の生活を快適 にできなければなりません。 自分の力ではどうにもならない、自然を相手に、生活を快適にする工夫をするのです。 それには、計測、地図とコンパスや結索などの技能も必要ですし、何より 経験 がものをいいます。

さて、その経験は今回のインダバで得られるのでしょうか? プログラムを計画したスタッフは、あること に期待していました。

オリエンテーション-3
班集会 その1

最初の班集会では、班名・班呼・班精神を決定、班旗を作ります。 インダバはリピーターが多いので、詳しい説明が必要ありません。 「決めてください」というだけで、スムーズに決まりました。

決定した、班名・班呼・班精神は以下の通りです。

班名班呼班のモットー・班精神
ツバメ ヒュールリー スマート
キツネ コンコン いつも元気
ドラゴンアチャー 昇竜のごとく
ヒツジ メェ〜〜〜〜〜!いつも楽しく
オウシ ブルボー 突進あるのみ!
ヤギ ヤギさんメエメエ質実剛健 おだてられれば山も登れば 木も登る

時節柄、偶蹄目が多いのが気になりますが、近くに牧場もあるので思いついたのかな?

3番ゲーム

本家、清水隊長も復帰したことですし(昨年は、初日のみ参加だったため隊長ではなかった)、やはりやります3番ゲーム。 これがなければ、インダバではありません。

くどいようですが 3番ゲームとは…
参加者が輪になり右回りで一人ずつ数字を順番にコール。
ただし3のつく数字あるいは3の倍数をコールする順番に当たった人は、コールの代わりに手をたたく。
[手をたたく例]
  • 3の付く数字 3,13,23,30,31,32…
  • 3の倍数   3,6,9,12,15,18…
間違えたら輪から抜けていき、最後まで残ると班のポイントになる、という簡単なゲーム。

最初の優秀班は ドラゴン班 でした。 幸先のよいスタートです。 最初で最後にならなければ良いのですが、どうでしょうか。


3番ゲーム-3

3番ゲーム-1
3番ゲーム-2

なお、今回の優秀班章は、宍粟第3団の田路さんが作ってくださいました。

班長訓練 その1 体側・歩測
(全員参加での基礎技術訓練)

計測にしても、地図とコンパスにしても、まずこれだけは必要です。

スカウティング・フォア・ボーイズにも

開拓者は自分の体の各部の正確な寸法を知っていなければならない。

とあります。

体の各部の寸法としては、以下を計りました。

  • 身長
  • 目までの高さ
  • 両手を広げた長さ
  • 腕の長さ
  • 広げた手の親指から小指まで
  • 靴の長さ

計測値は、インダバノートにしっかりメモしておきます。


歩測は100mを取る場所がなく 50mで計りましたが、

  • 100mの歩数
  • 歩幅

を出しておきます。

元気に歩いているのは良いのですが、いつもと違う歩き方をしているのが、気になるところですね。

やや傾斜していたので、登りと下りで歩数が違うことにも気づかされました。


これで基本データが揃いました。 いよいよ、計測、地図とコンパスの実習です。

体側・歩測-1
体側・歩測-2 体側・歩測-3
班長訓練 その2 計測・地図とコンパス実習
(全員参加での基礎技術訓練)

計測、地図とコンパスの実習は 2つの Base を設け、3班ずつ各 1時間行ないました。

ここで技術をしっかりマスターしておくことが、優秀班につながることはいうまでもありません。

Base1 計測

まず最初に、簡単にレクチャーしました。


計測は、難しいと考える人が多いように思います。 とりわけ、ビーバーやカブの指導者にとっては、苦手の前に初めてなので、どういうものかすら分かっていない場合もあると思われます。

でも、スカウトでの計測 は、次の 2つの原理(?)で語ることができます。

  • 同じ大きさのものを作る(合同)
    そして それを測る
  • 何倍かの大きさのものを作る(相似)
    そして それを測り計算する


同じ大きさのものを作る 方法には、横倒し法・ナポレオン法・45度(紙折)法・アイ・スティック法・等三角形法 などがあります。

横倒し法は本当に木を倒すことはできないので、バーチャルに木を倒す。 つまり、木と同じ長さを地面に作って測るわけです。

何倍かの大きさのものを作る 方法には、割り当て法・腕長利用法・縮図法 などがあります。

そしてその延長線上に、自動縮図作成装置としての、仰角簡易測量器や正接簡易測量器があります。

計測-1
計測-2

…と、ここまでのレクチャーを踏まえて、グラウンドでの実習です。


グラウンドには計測にはちょうど良い木が何本かあり、到達できない 2点間の距離を測るにも適当な場所があります。


やってみて分かるのが、頭での理解と、実際にやるのとは大違いだということ。 「やっと、この三角の意味が分かった」と言う人がいました。

計測-3

紙の上ではなく、地面に三角を作るというのが、いかに難しいか分かったようです。 正確に直線を出すためには、ひとりではなく、見通すなどして、班員が協力する必要があります。 そういうことも、実際にやってみて実感が得られるものですね。


計測-5

計測-4
Base2 地図とコンパス

Base2 については、Base1担当の筆者は全く見ていないので、担当の、高橋副コミにまとめてもらいました。

地図とコンパス

ボーイスカウトの楽しみ、ハイキングに不可欠の技能。 読図とコンパスに今回は挑戦しました。 スカウトのハイキングといえば、ただ漫然と山を歩くことではないことは当然、指導者の常識ですが、地図の使い方、読み方、座標読み、コンパスの使い方など、スカウトに指導する方法を改めて考えて取り組みました。

もちろん、班長訓練の後は実際に地図を使い、指示に従って歩いて課題に取組みます。 若干緊張気味の参加者もありましたが、そこはそれ、周りから、力強い支援の手(おせっかいじゃありませんよ!)が差し伸べられて、楽しい訓練にしていただけたようです。

地図とコンパス-1

班長訓練

A4サイズの小さな地図の中から、自分たちの位置を探し、それを説明することから、訓練が始まりました。 小さな地図の中でも、正しく位置を間違えずに伝えるためには、表現をいろいろ変え、言葉を多く費やする事になります。 「地図の上の方に、杣谷峠と書いてあるやろ、その右の方に、道路が曲がってる所あたりに、黒い小さな四角があるやん、これがあのキャビンや。」といった具合です。

そこで、座標軸を地図に記入してみます。「ここやったら、○○○○○○かな。」6桁の数字でばっちり! 座標読みは地図の中のある特定の位置を示す、共通言語なんだ、ということが素直に理解できます。 もっとも、座標軸がいい加減だと、方言が続出になってしまいますが。 どうも、インストラクターの高橋副コミは東北訛りになっていたようですぞ。 まあ、そこは苦心の作、「名刺版座標定規」に免じて次の課題、コンパスの使い方にかかりました。

地図とコンパス-7

大型のシルバコンパス(正しくはベースプレートコンパス)の模型を使っての説明で、磁北線、ベアリングなどの言葉も、普段あまりコンパスを使うことがない参加者にだんだんしみ込んできたようです。

限られた時間の中では、基本の理解が精一杯ですが、それを助ける実地の指導に工夫が大切ですね。 今回のそれは、ファイアー場いっぱいにロープで仕切られた座標軸です。 黒田副コミ苦心の大型メッシュを一段高い位置から眺め、「一輪車(!)、スコップ、バケツは座標で示すとどうなりますか?」 結構わいわい楽しんでいただけました。続いて、コンパスを使って、方位角を読む練習。 ここでも、近い目標を選ぶと、立位置のわずかな違いが大きな角度差を生み、進路を間違える原因となることを感じていただけたようです。

班長訓練に使えるかどうか、時間と手数を検討する必要がありますが、指導者の工夫がスカウトの理解を大いに助けます。 そんな参考にしていただけたでしょうか。翌日のハイキングの結果は?…… 短時間の訓練で、コンパスを使ったゲームができませんでしたが、座標読みの感覚、楽しさをつかんでいただけたかなと思います。 お疲れ様でした。


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地図とコンパス-2
地図とコンパス-3
地図とコンパス-4
地図とコンパス-5
地図とコンパス-6