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平成23年度 インダバ (指導者のつどい)
5 2日目(2) − 6月5日(日)
隊集会 その3 小遠征 のつづき

各班は、それぞれの課題に取り組みながら、ぬくとへ向かいました。

隊集会-1 隊集会-2

ぬくとでは、橋の想像図を描くために、川の計測や観察が行われました。

隊集会-3 隊集会-4

昔の街道の風情を味わってもらうため、「ぬくと茶屋」を開き、餅菓子と熱いほうじ茶がふるまわれましたが、たいへん喜んでいただきました。 帰りの登りの鋭気を取り戻せたのではないでしょうか。

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どのような報告がされるか楽しみです。

報告会

メインキャビンに戻った後は、報告書を作成して、報告会の準備をしました。

各班10分間の持ち時間で、共通課題や各班で設定した課題の報告がありました。

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ひつじ班の発表風景

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まず、計画の段階から、班独自の課題を設定して取り組んだ班の報告から紹介します。

レッドブル班は、徳川の埋蔵金を探すとのことでした。 外国人との争いを避けるために作った道なので、他からは見えにくいはず。 ならば、埋蔵金を隠しているかも、というのが課題の設定理由だそうです。

観察した結果、ぬくとまでの道では急斜面があり隠せそうだが、徳川道の構想的にはもっとポピュラーな道になるはずだったので、埋蔵金はここには無いのでは、という結論だそうです。

右のような詳細な野帳が記録されました。

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レッドブル班が提出した野帳の一部

ネコ班は、新穂高の植生を調べるというものでした。

右のように模造紙を使った植生図ができました。 報告書には下のようなきれいなスケッチもありました。

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ふくろう班は、不法投棄ゴミマップを作成しました。 この地図も野帳(下)に基づいて作成されたものです。

徳川道は車道には面していないため、大型ゴミはなく、ハイカーの落としたアメの包み紙や傘の柄が見つかっただけのようです。

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不法投棄ゴミマップ(部分)

安全対策については各班とも、しっかり考えていました。 さすが指導者ですね。

レオポン班の安全対策計画と報告(一部)を一例で紹介します。

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さて、共通課題について各班の解答を紹介します。

まず、1つ目の課題は 徳川道普請での通信方法を検討する でした。

班名 解等
レッドブル 「音」を利用したのではないか。隊集会-15
理由1 視界がきかない
理由2 音が通りやすいことは実地調査で確認
ネコ 現在は木が生い茂っているが昔の六甲山は「はげ山」であったという言い伝えから、「のろし」等の通信手段を使ったと思われる。
ペンギン 長い棒に旗を付けて振ることで通信していたのでは。
ふくろう 人足は組ごとの作業で、役割分担があり、通信係は呼子といって、合図を順次伝えていったと思う。
ひつじ 伝令や早駆馬を利用したか、太鼓や笛の音で通信したのではないか。道が曲がりくねっていて視覚では無理だ。
レオポン 摩耶山天上寺をキーにして、旗振り、のろしなどで通信。滝谷道〜ぬくと〜黒岩尾根に中継点があったのではないか。

他の共通課題もそうですが、正解はありません。 というか、分かりません。 専門に研究している方ならご存じかもしれませんが、ここでは正解を求めているのではなく、いろいろ想像して各班なりの解答を出すことを求めています。 道をただ歩くだけでなく、探求の目的があれば楽しいということを味わってもらい、探検旅行の意味合いを感じてもらうための課題設定でした。

とはいえ、せっかく出してもらった解答ですので、少しコメントをしておきます。

大阪堂島の米相場を六甲山を経由して旗振り通信で伝えたことは、皆さんご存じだったようで、旗振りという解答が複数ありました。 実際、昔の旗振り通信では、ペンギン班の解答のようにかなり大きな旗を利用したようです。→ 旗振り通信(Wikipedia)

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ペンギン班の報告書での旗

では、昨日練習した、手旗での通信は無理だったのか。

実際は、よく分かりませんが、ネコ班の解答にあったように、六甲山は当時はげ山でした。 言い伝えではなく、下の図のように、摩耶山の北側も見事にはげ山だったようです(この資料は当日も見られるようにしていました)。 したがって、現在と違って、もっと見通しが良く、中継ポイントをうまく選べば手旗もできたかもしれません。

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出典:『六甲山災害史』 (社)兵庫県治山林道協会, 1998
図の一部分に凡例を付けさせていただきました。

もちろん、音や伝令での通信であった可能性を否定するものではありませんが、手旗にこだわって可能性を探るのも、ベンチャーのプロジェクトとしては面白いのではないでしょうか。

2つ目の課題は 「ぬくと」の橋の想像図を描く でした。

班名 解等
レッドブル隊集会-18
ネコ 隊集会-19
ペンギン 隊集会-20
ふくろう 隊集会-21
ひつじ 隊集会-22
レオポン 隊集会-23

これは、当日配布した、神戸市発行の「徳川道」にある、以下の記録に基づく問いかけです。

「橋々仕様帳」によると、土橋の設置場所は、

  1. 字石屋川土橋 長十五間 新規懸渡し
  2. 字喜せん上谷土橋 長一間半 投渡し・懸替
  3. 字杣谷川土橋 長二間半 新規懸渡し
  4. 字ぬくと川土橋 長壱間半 懸渡し
  5. (以下略)

の17ヵ所あったそうです。

問題のぬくとに懸かっていたのは、1間半なので約3m の懸渡しということですが、懸渡しとは、橋の中間部に杭木・貫木(ぬき)・梁木(はりき)等によって組み立てられた橋脚を立て、両側から行桁木(ゆきけたぎ)をかけ渡した構造のこと。

ここまでは、情報として与えてあるので、現地を見て、どのように懸かっていたか、想像してもらったのですが、さて、上の図を見て、どの班が一番きちんと考えられているでしょう。

橋の長さが約3mとあるのに、かなり長い橋を想定しているのは、現在の川幅が相当広いからです。 当時はもっと狭かったのかもしれませんし、石垣などで狭くしていたのかもしれません。 いずれにせよ、当時と今では、イメージが随分違っていたと思われます。 そこまで思い至ったでしょうか。

最後の課題は 「ぬくと」の地名の由来を考える でした。

班名 解等
レッドブル 「抜けた大岩戸」の略ではないか。 岩盤が何箇所もあったが、風化が進み、崩壊したのではないか。
ネコ 道幅が狭く滑りやすいので「追い抜くと危ない」から来たと思う。
ペンギン 大名行列が外人さんと接触するのを防ぐのが目的の道であるので、「刀や銃を抜くと」さらに大変なことになるからだと思われる。 漢字ではなく「ヌクト」と表示されていることからもそう推察される。
ふくろう 温土(温かい場所)
抜戸(抜け落ちた地形)
抜音(工事の伝達手段を意味する言葉が抜けた)
盗途(抜け道の途中)
脱所(着ているものを「脱ぐぞ」の休憩の掛け声)
塗土(土橋を塗る)
脱渡(草履を脱いで渡った)
ひつじ 温湯・抜刀・抜人・抜道が思いついたが、神戸事件との関係から「抜道」ではないか。
レオポン 抜け途(抜け道)→ぬくと となったと思われる。

ぬくとは、「橋々仕様帳」に「字ぬくと川橋」とあるので、徳川道が出来る前から地名はあったと思われます。 外人さんとの接触が由来というのは考えにくいですね。

また近くには「又ヶ谷」=「ヌケ谷」もあり、はげ山で岩場もあるぬくとぬけ(場所)=崩落地 と考えるのが自然のように思います。

でも、先入観にとらわれず、いろいろ想像してみるのは楽しいものです。

優秀班伝達-1

小遠征は、計画と報告を見て、ペンギン班ふくろう班 が優秀班になりました。

3番ゲーム

ここまで、ネコ班が初日の手旗でポイントを稼いでトップを維持していましたが、2位以下との点数はそれほど大きくありません。

一発逆転倍付けの3番ゲームで、総合優秀班班が決まるのがインダバです。

3番ゲーム-1

2位のペンギン班は10点を取ったのですが、惜しくも1位のネコ班には追いつかず、ネコ班の逃げ切りが決定しました。

今年の総合優秀班は、ネコ班でした。

弥栄!

優秀班伝達-2
閉会式

2008年に授与したてばたんカード、今回もデザインを変えて授与しました。

てばたんカード-1

てばたんカードの有効期限は、1週間です。 期限の延長は自署者の努力で無限に延長されますが、なかなか難しく、失効してしまう人が多いようです。

閉会式-1

そこで、今回はてばたんカードの期限延長を援けるために、プレゼントがあります。

プレゼントの1つ目は、手旗の受信練習ツールです。

手旗は送信は1人でも練習できますが、受信は相手がいないと練習できません。 このツールは、パソコンが相手をしてくれるものです。

自分で入れた文を送信して受信できるか試したり、文字をランダムに送信させたりして受信の練習ができます。 速度なども調整可能です。

てばたんの維持に役立ててください。

ただし、スカウトには使わせないようにしてください。
スカウトは野外で、班の活動として、手旗を修得させて欲しいと思います。

プレゼントの2つ目は、手旗原画カード(PDF)です。

このPDFファイルは、各ページに上のツールでも使っている原画のピクトグラムが描いてあります。 切り取って、原画ごとにカードにすると、並べて文を作るなどのゲームができます。 どう使うかは、あなたのアイデア次第です。

それでは、今回のインダバの報告は、終了